【SNS採用の成功事例 Vol.8】#ざっきーとゆってぃー

こんにちは!中小企業診断士の西村星彌(合同会社CLEMA)です。
前回までの記事では、「就職したらどう森みたいな職場だった件について。」や「私が働くところみてて」といった、SNS採用における非常に面白い成功事例を取り上げてまいりました。
どちらにも共通していたのは、単に「求人情報を発信している」のではなく、求職者が思わず見たくなる「世界観」や「体験」をつくっていたことです。
今回ご紹介するのは、採用SNSの成功事例として非常に有名なアカウントです。
その名も、「ざっきーとゆってぃー」。
TikTokでは、上司と部下の掛け合いや、少し変わった出勤シーン、会社での日常をエンタメ化した動画が多く投稿されています。採用アカウントでありながら、いわゆる「求人募集しています!」という雰囲気はほとんどありません。
しかし、このアカウントはTikTok65万人、SNS総フォロワー約80万人規模の事例として紹介されており、SNS採用の代表的な成功事例の一つといえます。
では、なぜこのアカウントはここまで多くの人に見られ、採用にもつながっているのでしょうか。
本日は、「ざっきーとゆってぃー」が持つ採用SNSとしての強さを、SNS採用に取り組む中小企業の視点から紐解いてまいります。
Contents
「会社説明」を捨て、「人間関係」を届ける
このアカウントの最大の成功要因は、会社の魅力をパンフレット的に説明していない点にあります。
多くの企業が採用SNSを始めると、ついこのような投稿をしてしまいます。
「当社の事業内容はこちらです」
「福利厚生が充実しています」
「若手社員が活躍しています」
「ただいま採用募集中です」
もちろん、これらの情報は採用活動において重要です。
しかし、TikTokやInstagramのようなSNSでは、最初から企業説明をされても、求職者はなかなか見てくれません。なぜなら、視聴者は求人情報を探すためにSNSを開いているのではなく、面白いもの、気になるもの、共感できるものを無意識に探しているからです。
「ざっきーとゆってぃー」は、その前提をよく理解しているアカウントだと感じます。
このアカウントでは、会社の制度や事業内容を前面に押し出すのではなく、上司と部下の自然な掛け合いを通じて、職場の雰囲気を伝えています。
後輩が上司にタメ口で話す。
変な格好で出勤する。
それを上司が笑って受け止める。
会社の中で、まるで友人同士のようなやり取りが生まれる。
この様子を見た視聴者は、自然とこう感じます。
「この会社、雰囲気よさそう」
「こんな先輩がいるなら楽しそう」
「上下関係がきつすぎない会社なのかも」
つまり、このアカウントは「風通しの良い会社です」と言葉で説明するのではなく、上司と部下の関係性そのもので証明しているのです。
採用SNSにおいて、これは非常に重要です。
求職者が本当に知りたいのは、会社概要だけではありません。
「どんな人と働くのか」
「入社後にどんな空気の中で働くのか」
「自分はこの職場に馴染めそうか」
このような、求人票では分かりにくい情報を知りたいのです。
「ざっきーとゆってぃー」は、その不安に対して、言葉ではなく関係性で答えているアカウントだといえます。
「社会人って楽しそう」と思わせるエンタメ設計
このアカウントが優れているもう一つのポイントは、「社会人って楽しそう」と思わせる設計です。
採用活動において、学生や若手求職者の中には、社会人になることに漠然とした不安を持っている方が少なくありません。
仕事は大変そう。
会社は堅苦しそう。
上司との関係が怖そう。
毎日同じことの繰り返しでつまらなそう。
このようなイメージを持っている人も多いはずです。
実際、ざっきーさんへのインタビュー記事でも、就活生と話す中で「社会人になりたくない」と感じている学生が多く、「社会人も楽しいんだよ」と伝えたいという思いが語られています。
ここが、このアカウントの採用SNSとしての本質だと思います。
単にバズを狙って面白い動画を作っているのではなく、根底には「社会人の楽しさを伝える」というメッセージがあります。
だからこそ、動画が単なるふざけたコンテンツで終わらないのです。
出勤シリーズ。
上司と部下の掛け合い。
少しありえないシチュエーション。
視聴者が思わず笑ってしまうやり取り。
これらは一見すると、ただのエンタメ動画に見えます。
しかし、採用の視点で見ると、「この会社で働く日常は、少し楽しそうだ」と感じさせるコンテンツになっています。
これは、中小企業の採用において非常に大きなヒントです。
中小企業は、大手企業と比べると、給与、福利厚生、知名度、採用予算で不利になることが多いです。
しかし、「人の魅力」や「職場の空気感」では、大手企業に負けない会社もたくさんあります。
※というより、価値観は人それぞれなので、勝ち負けとかではなく戦わずに済むというイメージです。
むしろ、社長や社員同士の距離が近い中小企業だからこそ、リアルな人間関係を見せやすいという強みがあります。
「ざっきーとゆってぃー」は、その「人間関係の魅力」をエンタメとして見せることで、多くの視聴者に届く形へと変換しているのです。
なぜ、この手法は採用につながるのか
ここで大事なのは、「面白い動画を作れば採用できる」という単純な話ではないということです。
「ざっきーとゆってぃー」が採用目的のSNSアカウントとして強いのは、動画の面白さだけではありません。
認知を取ったあとに、採用につなげる導線があるからです。
このアカウントの成功は、動画単体の成功ではありません。
TikTokで認知を取る。
InstagramやYouTubeでさらに人柄を知ってもらう。
LINEで接点を持つ。
説明会や選考につなげる。
この流れがあるから、採用成果につながっているのです。
ここは、中小企業が真似する際に絶対に外してはいけないポイントです。
SNS採用でよくある失敗は、「動画は伸びたけど、応募につながらない」というパターンです。
これは、動画の内容だけが問題なのではなく、プロフィール、リンク先、LINE、採用ページ、問い合わせ導線が整っていないことが原因であるケースも多いです。
せっかく動画を見て「この会社いいな」と思ってもらっても、次に何をすればよいのか分からなければ、求職者はそのまま離脱してしまいます。
採用SNSでは、バズはゴールではありません。
バズは入口です。
その先に、求職者とつながる仕組みが必要なのです。
「ざっきーとゆってぃー」は、エンタメで入口を作り、LINEなどの導線で採用活動につなげている点が非常に優れています。
中小企業が真似すべきポイント、真似してはいけないポイント
さて、ここまでお読みになり、「うちの会社でも同じようにやってみたい」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
ただし、注意が必要です。
「ざっきーとゆってぃー」は、非常にレベルの高いアカウントです。
出演者のキャラクター、上司と部下の関係性、企画力、編集力、継続力。
これらが高い水準で噛み合っているからこそ成立しています。
表面だけを真似して、上司にタメ口を使わせたり、変な格好で出勤させたり、職場でドッキリのような企画を行ったりしても、必ずしもうまくいくとは限りません。
むしろ、会社の雰囲気や出演者のキャラクターに合っていない場合、「無理している」「内輪ノリがきつい」「痛い会社に見える」といった逆効果になる可能性もあります。
では、中小企業は何を真似すべきなのでしょうか。
真似すべきは、表面的なノリではありません。
真似すべきは、構造です。
一つ目は、会社説明ではなく、人間関係を見せること。
二つ目は、採用色を出しすぎず、まずは見てもらえるコンテンツにすること。
三つ目は、求職者が抱く「職場の雰囲気が分からない」という不安に対して、動画で答えること。
四つ目は、動画を見た人が次に進める導線を用意すること。
五つ目は、単発の投稿ではなく、シリーズとして継続すること。
これらは、中小企業でも十分に応用できます。
たとえば、製造業であれば「新人とベテラン職人の掛け合い」。
美容室であれば「先輩美容師とアシスタントの日常」。
飲食店であれば「店長とアルバイトの営業前ルーティン」。
薬局であれば「薬剤師と事務スタッフの何気ない会話」。
建設業であれば「現場に向かう車内での先輩後輩トーク」。
このように、自社に合った形で「人間関係が伝わる型」を作ることが重要です。
大切なのは、バズっているアカウントの見た目をコピーすることではありません。
自社の魅力が一番伝わる関係性を見つけ、それをSNSで見られる形に編集することです。
あなたの会社も始めてみませんか?
SNS採用は、始める企業がまだまだ少なく、始めても途中で諦めてしまう中小企業がたくさんあります。
しかし、求人媒体だけに頼る採用活動では、会社の本当の魅力が伝わりにくい時代になっています。
「職場の雰囲気を伝えたい」
「若手に会社の魅力を届けたい」
「求人票だけでは応募が集まらない」
「自社に合ったSNS採用のやり方を知りたい」
そのようなお悩みがございましたら、ぜひリクレマのページもチェックしてみてください。
CLEMA(クレマ)では、中小企業の採用課題に合わせて、SNS採用の企画設計から投稿内容の作成、運用改善までサポートしています。
次回の記事もどうぞお楽しみに!

保有資格:中小企業診断士(国内唯一の経営コンサルティングの国家資格)
合同会社CLEMA 代表
大手レコード会社、日本酒メーカー、経営コンサルティング会社を経て合同会社CLEMAを設立。SNS採用、SNS集客を中心に中小企業の支援している。公的機関でのコーディネーターも行っており、年間300社以上の中小企業の相談対応を行っている。

