【SNS採用の成功事例 Vol.10】@ヨコハマノカイシャ

こんにちは!中小企業診断士の西村星彌(合同会社CLEMA)です。

ご好評いただいている本シリーズ(勝手に成功要因分析)も累計10本まで到達しました。いつもご覧いただき、誠にありがとうございます。
かなりのアクセス数があり、多くの企業様がSNS採用に興味を示していることが感じられます。

今回ご紹介するのは、採用目的のTikTokアカウントです。

その名も「ヨコハマノカイシャ」

▶ ヨコハマノカイシャ(TikTokアカウント)

「横浜にある、何か面白そうな会社」

アカウント名だけでは、何をしている会社なのか、誰が登場するのかまでは分かりません。

しかし、このすべてを説明しすぎない名前が、視聴者に「どんな会社なのだろう」と続きを見たくなる余白を生み出しています。

そして、今回注目したいのはアカウント名だけではございません。

このアカウントの最大の特徴は、「ウルトラソウルでテレアポしてみた」をはじめとする、音楽に合わせてテレアポを行うという独自の動画企画です。

採用TikTokでは、流行している企画を真似する企業も少なくありません。

しかし、「ヨコハマノカイシャ」は、既存の流行を追いかけるだけでなく、自分たちだからこそできるオリジナルのエンターテインメントを作り出しています。

本日は、このアカウントが多くの視聴者を惹きつける理由を、3つの視点から紐解いてまいりたいと思います。

「テレアポ」をオリジナルのエンタメに変えた

このアカウントの最大の成功要因は、テレアポと音楽を組み合わせた独自の企画にございます。

テレアポと聞くと、「大変そう」「断られてつらそう」といった印象を持つ方も少なくないでしょう。

しかし、ヨコハマノカイシャでは、そんなテレアポを隠すのではなく、動画の主役にしています。

たとえば、B'zの「ultra soul」に合わせて電話をかける動画では、楽曲のリズムや盛り上がりと、実際の電話対応を掛け合わせています。

単に仕事の様子を紹介するのではなく、仕事そのものを一つのエンタメへと変えているのです。

TikTokでは、すでにバズっている動画の型を真似するアカウントも数多く存在します。

たとえば、「私が働くところみてて」の一人称動画をはじめ、社員への突撃インタビュー、上司と部下の掛け合いなどです。
https://clema.co.jp/re-clema-watashi/

運用初期に、伸びている動画の構成を参考にすることは有効です。

一方で、それだけを続けていても、「どこかで見たことがある会社」になってしまいます。
また、オリジナルを知っている人からすると、「パクリアカウント」としてマイナスのイメージにもなりかねません。

最終的にファンを作るためには、その会社を象徴するオリジナル企画が必要です。

ヨコハマノカイシャには、「音楽に合わせてテレアポをする会社」という明確な特徴があります。

アカウント名を忘れても、「歌いながらテレアポをしていた会社」と思い出してもらえる。

この記憶に残るオリジナル企画こそが、同アカウントの強みではないでしょうか。

後ろで笑う社員までコンテンツになっている

歌いながらテレアポをする男性社員が動画の主人公ですが、注目したいのは、その後ろで働いている社員の方々です。

主人公が本気で歌いながら電話をかける姿を見て、後ろの社員たちがクスクスと笑っています。

この自然な反応によって、職場の雰囲気が伝わってきます。

多くの企業は、求人票や採用サイトに「風通しのよい職場です」「上司と部下の距離が近い会社です」と記載します。

しかし、こうした言葉は多くの企業が使っているため、それだけで職場の実態を判断することはできません。

一方、上司と思われる人物が真剣にふざけ、それを部下たちが楽しそうに見ている姿には、言葉以上の説得力があります。

視聴者は動画を見ながら、「部下が上司に萎縮していない」「普段から楽しそうな職場だ」と感じ取ることができます。

さらに、後ろで笑っている社員の顔もしっかりと映しています。

投稿を繰り返し見るうちに、視聴者は主人公だけでなく、周囲の社員についても認識するようになります。

「いつも後ろで笑っている社員が気になる」「今日はあの人も映っている」と、複数の登場人物にファンがついていくのです。

主人公一人の人気だけに依存せず、社員同士の関係性そのものをコンテンツにしている点も、このアカウントの優れたところです。

動画ごとの目的が明確に分かれている

ヨコハマノカイシャは、面白い動画だけを投稿しているわけではございません。

多くの人に見てもらうためのエンタメ動画がある一方で、採用募集について正面から伝える動画も投稿しています。

ここも非常に重要なポイントです。

SNS採用では、一本の動画で認知拡大、会社紹介、仕事紹介、応募獲得まで、すべてを実現しようとしてしまいがちです。

しかし、情報を詰め込みすぎると、動画の目的が曖昧になります。

音楽に合わせてテレアポをする動画は、多くの人に見てもらい、会社の存在や雰囲気を知ってもらうためのものです。

一方、採用募集について伝える動画は、会社に興味を持った視聴者に、仕事内容や応募情報を伝えるためのものです。

つまり、

・エンタメ動画で認知を獲得する
・社員の日常や反応から職場のファンを作る
・採用動画で応募を促す

という役割分担ができています。

すべての動画から直接応募を獲得する必要はございません。

動画一本一本に目的を持たせ、アカウント全体で応募へ導くことが大切です。

また、サカナクションなど、その時々のトレンドを素早く企画へ取り入れている点も見逃せません。

TikTokのトレンドは、社内会議や確認に時間をかけている間に終わってしまいます。

流行を見つけてから、企画、撮影、編集、投稿までを短期間で行える体制も、このアカウントの強さを支えていると考えられます。

まとめ:「型」を真似した先に、独自の企画を作ろう

今回ご紹介したヨコハマノカイシャは、SNS採用におけるオリジナル企画の重要性を示しています。

運用初期は、すでにバズっている動画の型を参考にしても問題ございません。

伸びている動画を真似することで、TikTokで好まれる構成や編集方法を学ぶことができます。

しかし、最終的に会社や社員のファンを作るためには、自社だけの企画が必要です。

ヨコハマノカイシャは、テレアポという実際の仕事と音楽を掛け合わせ、「歌いながらテレアポをする」という独自のジャンルを生み出しました。

また、主人公だけでなく、後ろで笑う社員まで映すことで、社員同士の自然な関係性を伝えています。

企業が参考にすべきなのは、同じ曲を使ってテレアポをすることではございません。

自社の日常業務の中に、エンタメへ変えられるものがないかを考えることです。

製造業であれば、職人の動きや機械の音が企画になるかもしれません。

飲食店であれば、調理中の動作やスタッフ同士の掛け合いが企画になるかもしれません。

他社の型を参考にしながら、最終的には自社にしか作れない企画へ進んでいく。

そのオリジナル企画が、単発の再生数ではなく、会社や社員の継続的なファンを作るのではないでしょうか。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

次回の更新も、どうぞご期待くださいませ!

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